初めて桑の木で和紙を作ってみました!(しかも成長期の途中)

こんにちは。 ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。 今回は、初めての挑戦で桑の木で和紙を作ります。 基本的に当方は楮(こうぞ)の木皮で和紙作りをしています。 先日、和紙作り体験させて頂いた幼稚園で、病気になってしまった桑の木を使って和紙を作りたいと問い合わせを頂き、テストもかねてサンプルを作ることにしました。 本来、刈り取りは冬場に行います。 時期ではない木皮でしかも初めての桑の木なので、一つ一つの作業がドキドキでした。 どんな風に下準備をして和紙を作ったかをご紹介します。
桑の木初挑戦
桑の木は、先日和紙作り体験を行った常盤平幼稚園の園庭で育ったものです。 もともと、もう一本あってそちらが病気になってしまったそうです。 すでに先生方や園児たちでカットされたものを頂き、下準備していきます。 成長期の木は緑色で灰汁が強いです この時期の木で和紙を作る際、生剥ぎ(なまはぎ)と言って蒸さなくても芯と皮を簡単に剝ぐことができます。 しかし、そのあと内側の「あま皮」と「白皮」を分ける表皮とり作業がとてもやっかいでした。 あま皮の部分が固くて厚みがあって、ナイフで剥いてもいつものような作業スピードにはなりませんでした。 これではかなり時間がかかるため、通常同様に蒸すことにしました。 通常よりも短い時間で蒸しましたが、それでもスルッと芯と皮に分けられ、鬼皮、あま皮と白皮に分ける作業もスムーズでした。 ただし、あま皮の部分が多く、白皮の部分は少なかったので、場合によってはあま皮ごと作業してもよいかもしれません。(ただし、繊維が白皮よりも弱いのでキレイで滑らかな和紙が作れるかは不明)
煮熟(しゃじゅく)作業
さらに和紙に必要な繊維だけにしていくためソーダ灰を入れて煮ます。 通常と同じパーセントで煮ていったのですが、すぐに煮あがってしまいました。 30分もすると手ですぐにちぎれるほどにやわらかくなってしまいました。 ちょっと今回時間配分を失敗…。次回リベンジです。
叩き作業
何度か水洗いしたのですが、白皮の繊維が弱いです。 本来、叩くのに2時間以上かからないと繊維が叩解(こうかい)しません。 しかし30分もしないうちに繊維がちぎれて細かくなってしまいました。 成長期ゆえ、白皮がきちんと肉厚に成長できていなかったのも原因の一つといえます。 水の中に入れても粉っぽくあまり洗いはできませんでした。
いよいよ和紙漉(す)き
ネリは少し多めにして、厚みのある和紙を漉く方法でトライしてみました。 1回目はまだよいのですが、2回目に漉くとちょっと目詰まり状態…。 揺するのをやめてそのまま水が落ちるのを待つことにしました。 原料が粉っぽい状態なので、木枠である桁(けた)を開ける瞬間はドキドキでしたが、なんとか四角の形状は保たれていました。
圧搾してみると、通常の和紙っぽさになり、一安心しました。
板干しそして乾燥
今回は、ガラスと板と両方に干してみました。 理由として、幼稚園での干し方を考える必要があるからです。 たくさん園児たちが漉いた後干す場合、テーブルなどではスペースに限りがあるので、できればガラスを利用したいとのことでした。 また、幼稚園でもガラスに干してみたところ、べったり和紙がくっついてしまって剥がせなかったということがあったので、その原因も突き止めることもしたいと思ったからです。 なかなか鬼皮やあま皮を全部剥くことは難しいので、緑色が強い和紙になりそうです。 白皮の繊維も細いですね。 無事に乾燥して和紙になっていることを祈るばかりです。
完成!
ちょうど雨が降っているときに作業をしていましたが、一晩で乾くことができました。 どちらもキレイに剥がすことができましたが、木の板の方がスルッと剥がせたので、幼稚園でも板を使用した方が良いと思います。 表面のブツブツが気になりますね。 おそらく白皮以外の繊維などが取りきれていなかったのではないかと推察します。 また、ガラスで干した方が和紙が白くなりました。 雨模様でも紫外線があたって自然漂白できたんだと思います。 漉いていない原料は、幼稚園のお渡しして和紙作り体験に活かしていただくことにしました。 詳細はこちら。
結論
一応、時期ではないときに切ったものでも和紙にすることは可能です。 周りから桑はとてもやっかいだと聞いていたのですが、楮(こうぞ)と同様な手順で完成させることができました。 桑の木の方が一般的に目に入ることが多いので、より和紙作りに関心を持って頂ける方も多くなるかもしれません。 ただし、刈り取る時期は大事です。 野菜や果実同様に木も日々成長して収穫時期や刈り取り時期があります。 和紙で大事な白い皮がきちんと肉厚で繊維ができている時に刈り取って和紙にすることが大切です。 これから興味をもって和紙作りされる方も時期や成長具合を考えて取り組まれてはいかがでしょうか。