ねぎ農園さまのねぎで和紙を作ってみました

こんにちは。 ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。 テレビの影響もあって、最近野菜入り和紙を作り続けています。 スーパーなどで廃棄寸前の野菜だけでなく、実家の梅も和紙にしてしまいました。 そしたらなんと農園さまから育てている中で廃棄される野菜で和紙を作ってほしいと依頼を頂きました。 野菜はなんと「ねぎ」。 ねぎは前に途中まで作業していたことがあったのですが、手を止めていました。(理由は不明) さて、今回どのようにしてねぎ入り和紙を仕上げていったかをご紹介します。
今回のご依頼主さま
埼玉県でねぎを栽培されていらっしゃる「つじむら農園」さまです。 最初は、和紙原料についての問い合わせがきっかけでした。 やり取りの中で、廃棄されてしまうねぎ入りの和紙が作れないかと打診を頂き、本格的に作り出すことになりました。 ねぎ入り和紙はまだ完成させたことがなかったので、最初は試作ということでお引き受けしました。 「リーキ」という名の西洋ねぎが送られてきました。 普通のネギよりも色が濃いですね。 せっかくなので、色と繊維が両方楽しめる和紙にしていきたいと思います。
ネギの下準備
まずは色の部分から取り掛かります。 みじん切りにしてさらにクラッシュして色を出していきます。 あざやかな緑色が抽出できました。 部屋中、ネギの香りで充満してます(;^_^A。 当方では基本的に薬品での色止めはしていないので少しでも色がいつまでも残っていられるように手間をかけていきます。 こんどは繊維部分を抽出していきます。 小さめに切ってソーダ灰がはいった鍋で少し長めに煮て繊維を分解していきます。 ねぎが肉厚なので、しっかり繊維が残りそうです。 和紙作り同様に叩くことでさらに繊維を細かくしていってネギの下準備は完了です。
和紙漉き・板干し作業
ねぎ色に染めた和紙原料と水、そして繊維だけのネギをミックスして専用の道具で漉きます。 今回は厚みを2種類作ります。 お客様からの要望は、名刺を作りたいということなので、それなりに厚みのある状態で漉きました。 色がなるべく抜けないように日陰で自然乾燥させていきます。 もう少し繊維は短くしてもよかったなと干した状態で反省しました…。
完成
天気が少しよくなかったので、完全に乾燥するまでに少し時間がかかりました。 2種類の厚みがあるのが分かりますか? やわらかい緑色がとても温かみがありますね。 和紙原料もすこし繊維を残した状態のを使用したので、ねぎ繊維と和紙繊維がうまくからみあっていると思います。 和紙の繊維をあえて残して漉いた和紙を「雲竜和紙」と言います。
昔作ったネギスタンプはおまけです。
予備のねぎ和紙にちょっと捺印してみました。
最後に
お客様からご夫婦ともども感激しましたとメッセージを頂きました。 和紙の色は薬品止めをしていないので、紫外線があたるとだんたん退色していきますが、一緒に漉きこんだねぎ繊維の色は残っていくと思います。 丹精込めて作られたねぎが和紙に変身されて第二の道ができたと思います。 今度は、さらに厚みのある名刺サイズの和紙のご注文を頂きました。 今回は、スタンプを押して作成されるとのことでした。 当方でもプリンターやスクリーントーン印刷も対応できるように準備していく予定です。 全国の農家さんで、野菜入り和紙にご興味ある方は是非お気軽にお問い合わせください。 動画も作ってみましたので、こちらもご覧くださいませ。