手すき和紙作り用のトロロアオイ保存方法

こんにちは。 東京和紙の篠田です。 今回は、手すき和紙作り用のトロロアオイの保存方法をご紹介します。 最近、古民家再生や自分で育てた植物で和紙をつくりたいというお問い合わせを各地から頂きます。 当方でも種や苗を販売しています。 これをきっかけにいろんなところで和紙作りをしてくれる人が増えることを願っています。
 
トロロアオイとは?
和紙をあまり知らない方はトロロアオイと聞いてもどんな植物か分からない方も多いと思います。 和紙作りにはトロロアオイの根っこを使用します。 根っこから抽出される粘り成分は和紙を漉(す)く才に繊維を水中で分散して浮遊させてくれます。 よって、道具を使用して繊維をすくって和紙が作れるのです。 トロロアオイの詳細についてはこちらをご覧ください。 https://thewashi.tokyo/about-washi/
①カット
こちらは、当方から種を購入されて育ててくれたトロロアオイの根です。 お野菜も一緒に送って頂き、大変感謝です。 根を折らないように掘り起こして送って頂きました。 コンパクトに保存するため、これから選定しながらカットしていきます。 緑部分の茎と髭根からは粘り成分はとても少ないので、使用しません。 根っこは、主の根っこと脇の根っこをそれぞれカットします。 脇根も細いものは粘り成分も弱いので使用しません。 また、根がこぶ状になっていたら根こぶ病という病気にかかっているため、粘り成分はあまり抽出できないのでご注意ください。
②洗浄
先にカットしないと洗浄がしにくいので私は後に洗います。 細かい部分にも土が入り込んでいるのでたわしや不要な歯ブラシなどで細かく洗っていきます。 綺麗に洗えると根っこも白く輝きますよ。
③叩く
粘り成分を抽出するには、根を叩いていきます。 根っこには固い芯があって、ここからは粘り成分は出ません。 皮のみしか抽出できませんので、叩くのは皮部分になります。 すべて叩き終わりました。 保管スペースの都合上、芯を取り外して皮のみにしました。 ただ、このやり方をすると痛みが早く、粘り成分がすぐに弱くなるので早めに使用することが大事です。
④保存
保存袋やタッパーに叩いた根と少量の水を入れて冷凍保存します。 トロロアオイの粘り成分は、熱にとても弱いです。 常に冷たい状態をキープすることが大切です。 これで作業は完了です。 使用する際は解凍して粘り成分のみを抽出してください。 短時間ですが、作業工程を動画にまとめました。 https://www.youtube.com/watch?v=btLDN6F2U10&t=1s 和紙メーカーでは保存方法も異なりますし、気候によっても変わってくると思います。 一つの方法として知って頂けましたら幸いです。 ご自分で育てたトロロアオイを使って素敵な和紙を作ってみてください。