ショップで育てている楮(こうぞ)がすくすくと成長しています。
入口を飛び越えてまるでアーチの状態で通る人たちが不思議そうに見ています。
楮(こうぞ)は、和紙の原料です。
正確に言うと楮の木の皮から和紙は作られています。
なので、栽培する際は皮にたくさん栄養が注ぐように育てていきます。
本来は、山の中などで栽培するのがよいのですが、都心ではなかなか厳しいのでプランターで栽培しておりますが、量は少なくても幹を太く育っています。
楮(こうぞ)は、冬に刈り取ります。
大体来年1月位をめどに刈り取ってすぐに蒸して皮と芯に分けます。
こちらは、トロロアオイの実です。
正確には実から種に変化しようとしているところです。
本来、和紙作りに使用する際は、トロロアオイの根を使用します。
根から抽出する粘り液を水の中に入れて楮(こうぞ)の繊維が浮遊するために使用します。(他にも役目はありますが、接着剤ではありません)
強い粘り成分を作るには、根を太く育てなければなりません。
花や実をつけないようにして土からの栄養分を集中して根に注ぎます。
ショップでは、観賞用の意味を含めてあえて花や実を育てて種を作り出しています。
すっかり茶色に変化して枝なども枯れてきたら収穫となります。
こちらは、トロロアオイの実です。
とてもオクラに似ていますね。
起毛が多いですが、若い状態であればオクラのように食すことができます。
実よりも有名なのが花です。
黄色い花びらも食すことができます。
私は、よく手毬寿司にして食べています。
食感がシャキシャキして美味しいですよ。
花も実も根っこ同様に少量ですが粘り成分があります。
形も似ていることから「花オクラ」と名付けられたのではないかと思います。
私だけの言い分では信用できない方もいらっしゃると思い、
長年野菜の研究をされている藤目幸擴先生にも問い合わせさせて頂きました。
回答はこちら
トロロアオイはアオイ科トロロアオイ属トロロアオイ種(シュ)に分類され、
学名は属名と種名を併記して、 Abelmoschus manihot Medik. と書きます。
Medik.は命名者で、中国原産の1年草です。
オクラとよく似た花を咲かせることから、花オクラという別名があります。
以上のことから同じということは和紙屋だけでなく野菜の面からも同じということが立証されました。
よって、「花オクラはトロロアオイと一緒」とはっきり言えます。
また、原生種と園芸種という違いはなにかですが、
本来の原生種というのそれぞれが分類・命名された元の植物グループを指し、
園芸種は、商業品種というもので、普通には原生種などは売らないそうです。
もしかしたら、和紙メーカーも産地特定のトロロアオイでないと使用できないという事をおっしゃりたかったのかもしれません。
(国指定などの和紙は産地を明確化しなければならない部分もあるので)
ちなみに、トロロアオイとオクラは違う種類です。
上記の写真は、オクラの花と実です。
とても似ていますね。
オクラは、アオイ科、トロロアオイ属オクラ種に分類され、学名はAbelmoschus esculentus (L.) Moench です。
(L.) Moench はL(リンネ)が分類したのち、
Moenchが後それを訂正しています。東北アフリカ原産の1年草です。
よってトロロアオイとは種が違います。
違いがよく分かるサイトがありますので、そちらをご覧ください。
wapichan.sakura.ne.jp
オクラは食す専門なので、粘り気が弱いので基本的に和紙作りには使用しません。
ただし、おうちなどで和紙を作る際には漉(す)き方も変わるのでオクラを代用することはできます。
当方でも和紙作りオンラインワークショップにはオクラを使用します。
詳細はこちら
tabica.jp
それぞれの専門といっても分からない点はたくさんあります。
その都度調べてみなさんの質問に答えられるように今後も探求していきたいと思います。
余談ですが、綿の花もとても似ていますよ。
