和紙を作るのにとっても大事な「トロロアオイ」の栽培方法をご紹介します。
東京和紙では、和紙を作るだけでなく和紙の原料も育てています。
東京和紙は、
和紙の原料は楮(こうぞ)
和紙を漉(す)くのに使用するネリはトロロアオイを使用しております。
皆さまにもさらに和紙を身近に感じて頂くために一緒に原料を育ててる活動もしております。
和紙がどんな植物からできているがご存知ない方が大変いらっしゃいます。
さらには和紙が植物からできていることを知らない方も多数いると思っております。
少しでも和紙を様々な角度から好きになって頂ける様に
「和紙を作る」だけでなく「和紙を育てる」ことにも力を入れております。
今回は、和紙を漉(す)くのにとっても大事なトロロアオイをご紹介します。
東京和紙では苗の状態で販売
ただし、東京和紙の種は原生種に近いため発芽率が少々低めです。
(市販されている園芸用の種でも発芽率70%程度)
東京和紙では、きちんと育てて頂ける様に双葉が発芽した苗の状態で販売しております。
深さのある植木鉢と敷石を用意します。
100均ショップで販売されている鉢植えや土で十分に育てることができます。
土は、培養土の方が大きく育つと思います。
(または、野菜用の土)
花や実を育てたい方は深さは15~20cm位のものを
根っこを育てたい方は、深さ25~30cm位以上ある鉢植えだとベストです。
2本以上同じ鉢で植える場合は鉢の大きさによりますが、約15cm程は間隔を空けるのがベストです。
他には、鉢用の受け皿あるとベターです。
もしコンクリートの上に鉢を置く場合、真夏の照り返しを受けない様にすることが大事です。
苗ポットから取り出した苗を土の中に置き、ぐらつかない様に土を寄せて固めていきます。
植える時期としては、5月~6月中旬頃までがベストです。
植えた後は、一度水をまいてしっかり水が落ちていくかを確認してください。
置き場所としては日当たりが良い場所が最適です。
水やりは土の表面が乾いたらたっぷりとあげてください。
葉の形が変わり、五角形に近い形状の葉が本葉です。
本葉が出てくると育つスピードもぐんぐん速くなります。
トロロアオイの成長を集中させるために、よけいな雑草も取り除きます。
土が乾いたら水やりするの繰り返しです。
引き続き、日に当たる場所で土が乾かない程度に水やりをしていきます。
本葉がどんどん成長すれば、双葉は枯れていきます。
根っこを育てたい場合
本葉がもう少し1-2枚増えたら、その後に出てくる葉や脇芽は全て摘んでしまいます。
光合成に必要な最低限の枚数だけ残し、根っこに栄養を集中させ太くするため(=強い粘りを得るため)です。
地中へ成長していく性質なので鉢は深さのある物の方が向いていますが、置くスペースに合わせてお選びください。
だんだん気温が上昇し、土が乾燥しやすくなりますので、水やりのタイミングを忘れずに。
また、土もどんどん減っていきます。
トロロアオイは土からどんどん養分を吸収します。
雨などで流されてしまう可能性もあるため、定期的に追加するといいです。
元気がない様であれば、土に差し込むタイプの液体肥料等を試してみてください。
どんどん成長
暑い日中は、灼熱の日差しでくたっと葉っぱがしおれますが、夕方になり涼しくなると、またシャキッと生き返るのでこの頃から土が乾いていないか朝チェックするだけでOKです。
背高く成長していくので、強風や台風で折れてしまう危険性あり。
室内に入れるか、添え木で茎を固定する必要があります。
個人的ですが、2017年の7月に大粒の雹が降ってもろに直撃しました。
ちょうど花も咲いて喜んでいたのもつかの間、あっという間に葉も茎もボロボロに折れてしまいました。
ただ、ここでがっかりしないでください。
しっかり脇芽が成長し、花を咲かせ実もなりました。
根っこが生きていれば、必ず成長していきます。
茎が折れても、あきらめずに育ててくださいませ。
茎が折れてしまった場合、斜めに切っておいてください。
まっすぐ切ってしまうとそこから雨が入って根っこを腐らせてしまう可能性があります。
斜めに切っておけば、少しでも雨の侵入を防ぐことになります。
特に葉っぱの裏にたくさんいます。
個人的ですが、殺虫剤や農薬などを使いたくないので、ウェットティッシュで綺麗に拭いて撃退しました。
昔、畑をしている人から牛乳を水で薄めたものを霧吹きで葉っぱに吹きかけると虫が呼吸できなくていなくなると聞いたことがあります。
どうされるかはそれぞれのご判断にお任せします。
成長に伴い、オクラやきゅうりなどにもある透明な細いとげが葉や茎に密生してきます。
先端が鋭いので刺さると痛いです。
虫の駆除、土の追加、水やり、添え木、移動の際など気をつけてください。
つぼみを発見してから約1週間のうちに花は咲きます。
花は1日でしぼんでしまうので、食べてみたい方は朝咲いている状態で取りましょう。
<根っこを育てる場合>
根っこに栄養分をいかせて太らせるために脇芽は全て取ってしまいます。
したがって花や実は栄養分がとられてしまうので、咲かすことはできません。
1年目は花や実を楽しみ、その種で2年目は根を育てるのも良いかもしれませんね。
何輪も同時に咲くと茎が倒れそうになります。
この頃には約1m位まで成長しています。
花の大きさに対して茎が細いので支柱をつけてください。
下の方の葉は、そろそろ枯れ始めるものが出てきます。
生育に影響はなく自然に落ちるので、そのままにしておきます。
また、つぼみのままで開花しない場合もあります。
まだ外側が柔らかく、棘もそんなに痛くなければ食すことができます。
茶色に変色し、だんだん先端が割れていきます。
棘もどんどん固くなって素手で触ると痛いので十分に気を付けてください。
収穫した種は乾燥した場所で保管してください。
なので、寒くなると枯れていきます。
大体10月中旬~11月後半位で成長も止まります。
葉っぱも黄色く変色し、枯れ始めます。
抜くとこんな感じです。
沢山細いひげ根がついていますが、中心部分の白い根っこからは少量ですが、粘りが抽出できます。
量は少ないですが、これも和紙を漉くのに活用できますので、もしよろしければ東京和紙まで送って頂けますと大いに役立たせて頂きます。
<根っこを育てる場合>
収穫の時期は同時期です。
根っこが折れたり傷がつかない様にゆっくり抜いてください。
1本では和紙を漉くには足りませんが、何本もあつまれば何枚も東京和紙を漉(す)くことができます。
よろしければ東京和紙にご提供頂けますと大変助かります。
トロロアオイを食すもよし
成長を観察するもよし、
和紙を漉(す)くために根っこを育てるもよし
様々な目的でも構いません。
よりもっと和紙に関わる植物に興味を持って頂きたいと思っております。